2012年11月26日月曜日

独断と偏見で選ぶボールパーク 『ランク圏外/中地区編』

圏外/USセルラー・フィールド
 - ホーム :シカゴ・ホワイトソックス
 - オープン:1991年
 - デザイン:HOK Sport(現Populous)
 - 収容人数:40,615人




今では偉そうにアレコレ語っている自分だが、初めてメジャーリーグに触れたのはたった8年前のココだった。濃い緑の天然芝の美しさと、その夏らしい薫りに酔いしれ、結果的にあの時の感動が僕の人生の一部を変えてしまったと言っても過言ではない。

球場自体はオリオール・パークの1年前に開場した、HOKの「プロトタイプ的作品」だが、まだネオクラシックの風情は感じられない。ただし、先代のコミスキー・パークから「風車式爆音スコアボード」が踏襲されるなど、「やりたかったこと」は大いに感じられる。

個人的に好きなのはレフト外野コンコースにあるシャワー。ただシャワーの蛇口から水が出るだけなのだが、夏場にファンが水浴びするためにと、旧オーナーのビル・ベックにより考案されたもので、これも旧コミスキー・パークより移設されてきている(球界の風雲児ことベックの功績についてはいつか語りたい)。

今回のランキングからは泣く泣く外したが、永遠に我が青春のボールパークであることは間違いない。




圏外/プログレッシブ・フィールド
 - ホーム :クリーブランド・インディアンス
 - オープン:1994年
 - デザイン:HOK Sport(現Populous)
 - 収容人数:43,429人




不況や治安悪化から街を立ち直らせるべく、「クリーブランド復興計画」の一環としてダウンタウンの一等地に建てられた模範的な「箱庭的ボールパーク」。かつて鉄鋼業で繁栄したクリーブランドらしく、白い鉄骨がむき出したままのユニークな外観(そういえば造船業で財をなしたスタインブレナーもこの街出身)。

開場翌年の95年から足掛け6シーズンにかけ、455試合連続チケットSOLD OUTの金字塔を樹立した(その後ボストンのフェンウェイパークに塗り替えられた)。コッテコテのネオクラシックスタイルのオリオール・パークで一世を風靡したHOKが、たった2年後に全く毛色の異なるこの作品を世に送り出した事に、多芸というか、引き出しの多さというか、素直に敬服する。

従来は当たり前のようにセンターに鎮座していたスコアボード類を、景観を意識して端っこに寄せる手法や、歯ブラシ型の縦置き照明などは以降の球場デザインに大きな影響を与えた。間違いなくメジャーでも5本の指に入るであろう好球場だけに、ココのランク入りは正直最後の最後まで悩んだ。が、いかんせんダウンタウンの治安と言うか雰囲気が悪過ぎるため(怖すぎるため)断念。いやしかし、球場自体は本当に素晴らしい!!




圏外/コメリカ・パーク
 - ホーム :デトロイト・タイガース
 - オープン:2000年
 - デザイン:HOK Sport(現Populous)
 - 収容人数:40,120人




工業地帯だったデトロイトに倣えと、大阪を地元とする阪神が球団名をパクったのは有名なハナシ。”虎”というと東洋では「黄色」と「黒」のイメージだが、”タイガー”というと西洋では「オレンジ」と「ネイビー」のイメージだそうだ。その昔、タイガースのユニフォームの靴下の色がオレンジとネイビーの縞柄だったから付けられたニックネーム。

球場内にはメリーゴーランドや観覧車があり、ボールパークらしい楽しさを提供してくれるのは有難いが、メリーゴーランドが馬では無く、タイガーなのがポイント。これが結構リアルで怖いので子連れの親御さんは気をつけよう。

ココの球場のフィールドは地下1階レベルに掘られて設計されており、メインコンコースがストリートレベルにあるというユニークな造り。日比谷野外音楽堂と同じような造りと言えば分るだろうか?これはアリゾナのグッドイヤーボールパーク(レッズとインディアンスのスプリングトレーニングサイト)などにも採用されている手法。自動車産業ややブラックミュージックで一時代を築いた「モータウン」として世界的にも有名だが、とにかくこの街も治安悪過ぎ、怖すぎ。




圏外/クアーズ・フィールド
 - ホーム :コロラド・ロッキーズ
 - オープン:1995年
 - デザイン:HOK Sport(現Populous)
 - 収容人数:50,398人




ご存じ「マイル・ハイ・スタジアム」。海抜0メートル地点より9%も打球が飛ぶと言われている、メジャーきっての打者天国。昨今メジャーリーグでも乱発気味のノーヒッターだが、ココでの達成者はいまだに96年の野茂秀雄ただ一人だけ。

球場内の座席の色は基本ダークグリーンで統一されているが、アッパーデック3階席の20列目が丁度海抜1マイル(1600m)に当たるため、そのラインだけ座席がチームカラーのパープルに塗られている。レンガと鉄骨を組み合わせた典型的なHOKの初期型ネオクラシック作品で、開場当時はそれなりに評価されていたようだが、これだけHOK作品が飽和状態となった今では特にヒネリも工夫も無いように見えてしまう不幸。ただ、デンバーのような中級都市に5万人を超える大箱は今となっては珍しく、こんなところに90年代という時代を感じてしまう。




圏外/ミラー・パーク
 - ホーム :ミルウォーキー・ブルワーズ
 - オープン:2001年
 - デザイン:HKS
 - 収容人数:41,900人




春先、秋口のミルウォーキーの過酷な寒さをしのぐ為、開閉式天然芝球場という形式を採用しているが、ココの屋根は扇子を真ん中から割る用に開くメカニズムを採用しており、世界でも稀(というか他に知らない)。建設工事中にはクレーン倒壊事故により2名の作業員が亡くなると言う悲劇にも見舞われたが、予定より1年遅れで開場した。

ブルワーズの選手がホームランを打つと、マスコットのバーニー・ブルワーが滑り台から滑り降りてくるパフォーマンスが有名。というか唯一の彼の仕事と言っていい。かつてミルウォーキーにはドイツ系の移民が大量に流入した為、ビール製造のメッカとなったそうだ。へ~。

あとミルウォーキーと言えばハーレーダビッドソンが有名で、投手交代の際にはスポンサーでもあるハーレーのバイクが球場内を一周するというパフォーマンスが旧スタジアム時代からのお決まり。

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